十方じっぽう)” の例文
小町 ああ、やっと助かった! これも日頃信心する神や仏のおはからいであろう。(手を合せる)八百万やおよろずの神々、十方じっぽう諸菩薩しょぼさつ、どうかこのうそげませぬように。
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
十方じっぽう無障碍むしょうげに放射することを感ずる。
火と氷のシャスタ山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
十方じっぽう遍満へんまんした俊寛どもが、皆ただ一人流されたように、泣きつわめきつしていると思えば、涙のうちにも笑わずにはいられぬ。有王。三界一心さんがいいっしんと知った上は、何よりもまず笑う事を学べ。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)