刻一刻こくいっこく)” の例文
今夜こんやはまた、風と霧雨きりさめをまじえた、うすら寒い、まっくらな夜です。おまけに、あたりは刻一刻こくいっこくときみわるくなってくるではありませんか。
出むかえの人がきの前列に立って左のほうをながめますと、明智探偵をのせた急行列車は、刻一刻こくいっこく、その形を大きくしながら、近づいてきます。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
火はわらのべてゆくようにうつる。むーッとこもる熱気ねっき刻一刻こくいっこくにたかまる。そして、むせるそばから煙ははなにしみてふせぎようもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて今や「自然主義」という言葉は、刻一刻こくいっこくに身体も顔も変ってきて、まったく一個のスフィンクスになっている。
それでもやっぱり、じぶんの死ぬときが、刻一刻こくいっこくとせまってくるのがわかりました。
しかし、そういううちにも、水かさは刻一刻こくいっこくと増すばかり、小林君自身が、もう不安にたえられなくなってきました。それに、春とはいっても、水の中は身もこおるほどのつめたさです。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
黙然もくねんとして刻一刻こくいっこく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)