函嶺かんれい)” の例文
「世の中は近々平和になるよ。だが今後とも小ぜりあいはあろう。幕臣たる者は油断してはならない。八郎、お前、久能山くのうざんへ行け! 函嶺かんれいけんやくしてくれ!」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
われは函嶺かんれいの東、山水の威霊少なからぬところにうまれたれば、我が故郷はと問はゞそこと答ふるに躊躇ためらはねども、往時の産業は破れ、知己親縁の風流雲散せざるはなく
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
鎖藩さはんの政略は、日本全州に行われ、函嶺かんれい関所せきしょを通行するの難きは、仏人がアルサス、ローレンズを通行するの難きよりも難く、年々歳々東西南北の諸大名が、その行列供連ともづれして
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)