処女ヲトメ)” の例文
旧字:處女
丹波道主貴の家から出る「八処女ヲトメ」の古い姿なのである。この神女は、伊勢に召されるだけではなかった。宮廷へも、聖職奉仕に上っている。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
家中の人は、家の巫女なる処女ヲトメ——処女の生活をある期間してゐた主婦又は氏女——を残して、別屋——新嘗屋となつた——又は屋敷の庭に出てゐる。
此日、村の娘が五月処女サウトメとしての資格を得るのである。そうとめと音便で呼ばれる語形さをとめの結合は、近世では出来ない結合である。処女ヲトメは神事に仕へる女、と言ふ事である。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
いざ吾君アギヒルつみに 蒜つみに 我が行く道に、香ぐはし花橘。下枝シヅエらは人みな取り、秀枝ホツエは鳥枯し みつぐりの 中つ枝の 含隠フゴモり アカれる処女ヲトメ。いざ。さかはえな(応神天皇——日本紀)
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)