具足町ぐそくちょう)” の例文
炭町、具足町ぐそくちょうの家々のひさしの朱いろの矢のように陽線ひかりが躍り染めて、冬の朝靄のなかに白く呼吸づく江戸の騒音が、聞こえ出していた。
あれは確か安政うま年の十二月、歳の暮にしては暖い晩でした。和泉屋というのは大きな鉄物屋かなものやで、店は具足町ぐそくちょうにありました。
半七捕物帳:03 勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「親——親分え、具足町ぐそくちょう徳撰とくせんの——若えもんでごぜえます。ちょっとお開けなすって下せえまし。とんでもねえことが起りましただよ、え、もし、藤吉の親分え。」
京橋具足町ぐそくちょうの和泉屋という金物屋の奥座敷。初午はつうま祭の素人芝居の楽屋になっているていで、そこには鏡台が幾つも列んで、座蒲団などもある。衣裳葛籠つづらがある。鬘がある。
勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)