八王子はちおうじ)” の例文
とらの門、青山、明治神宮の上空を飛んで、世田谷区にはいり、それから、甲州こうしゅう街道ぞいに、八王子はちおうじ市の方向にむかったということでした。
宇宙怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
文久年間に刻せられた『湘雲しょううん詩鈔』四巻。『島雲漁唱』一巻。及『雲如先生遺稿』である。妻某氏は武州八王子はちおうじの人。夫の没した後その晩年の詩稿を携えて生家に帰った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
此辺はもと徳川様の天領てんりょうで、おさめ物の米や何かは八王子はちおうじ代官所だいかんしょまで一々持って往ったものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
天然理心流二代目近藤三助さんすけは武州多摩郡加住かずみ村の出、八王子はちおうじを中心に多摩地方の農村富農の子弟を「武術」の上で組織した。二代目を継いだ近藤周助しゅうすけも多摩郡小山村の「農」。
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
それから反対側のフォームに渡り、上り列車に乗って、二駅引返すと東神奈川ひがしかながわである。二人はそこで下車して、今度は八王子はちおうじへの線に乗替え、八王子で再び目的の中央線に乗替えた。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
場所は、新宿しんじゅく駅から八王子はちおうじ街道を、西へ一キロ半ほど行くと、右に常楽寺じょうらくじという大きな寺がある。その寺のうしろの墓地のうらに、戦災でやられたままになっている大きなやしきのあとがある。
鉄塔の怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)