僣上せんじょう)” の例文
もし今日ただちに苔虫類のごとき理想的の社会を造ろうと思う者があったならば、これは人間生来の欠点を忘れた僣上せんじょうの沙汰と言わねばならぬ。
理想的団体生活 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
ぬかるなと申してやれ、十左め、ひっ捕えたらこんどこそ糾明してくれる、あの僣上せんじょうな忠義ぶった面の皮を、こんどこそ引剥ひんむいてくれるぞ、誰かおるか、斎宮、斎宮
「私のお父上のご生存中は、田沼という男も今日のように、ああも僣上せんじょうな真似はしなかった」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
決して私めが僣上せんじょうに岩沼子爵の御令嬢をどうのこうのとはもうしませぬから、金円品物は吃度きっと御持帰り下され、しかしまざ/\と夫婦約束までしたあの花漬売はなづけうりは、心さえ変らねばどうしても女房に持つ覚悟
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
処士しょしの分際として国老を問責するのは無礼でもあり、その仕方は僣上せんじょうすぎる、というのである。