修禅寺しゅぜんじ)” の例文
旧字:修禪寺
頼朝が逝去せいきょするとともに、頼家が家督かとくを相続したが、朋党ほうとう軋轢あつれきわざわいせられて、わずかに五年にして廃せられ、いで伊豆の修禅寺しゅぜんじ刺客しかくの手にたおれた。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
午後三時ふたたび出て修禅寺しゅぜんじに参詣した。名刺を通じて古宝物こほうもつの一覧を請うと、宝物は火災をおそれて倉庫に秘めてあるから容易に取出すことは出来ない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
伊豆の修禅寺しゅぜんじの奥の院は、いろは仮名四十七、道しるべの石碑をなわて、山の根、村口に数えて、ざっと一里余りだと言う、第一のいの碑はたしかその御寺の正面
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
じっと仰向あおむいて、尻の痛さをまぎらしつつ、のつそつ夜明を待ちびたその当時を回顧すると、修禅寺しゅぜんじの太鼓のは、一種云うべからざる連想をもって、いつでも余の耳の底に卒然と鳴り渡る。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
岡本綺堂さんは『修禅寺しゅぜんじ物語』の作者であるばかりでなく、捕物帳にもすぐれた江戸情緒を盛って、われわれ後生の及び難い才分を示した人ではあるが、私にはまた、私の考え方があるかも知れず
銭形平次打明け話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
伊豆の修禅寺しゅぜんじ頼家よりいえおもてというあり。作人も知れず。由来もしれず。木彫の仮面めんにて、年を経たるまま面目分明ならねど、いわゆる古色蒼然そうぜんたるもの、来たって一種の詩趣をおぼゆ。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)