信濃町しなのまち)” の例文
何が僕を一朝いっちょうにして豹変ひょうへんせしめたか、そのキッカケは、大学三年のときに、省線電車「信濃町しなのまち」駅の階段を守ったという一事件に発する。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
信濃町しなのまちでは、一同が内山の出した美吉屋の家の図面を見て、その意見に従つて、東表口ひがしおもてぐちに向ふ追手おつてと、西裏口にしうらぐちに向ふ搦手からめてとに分れることになつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
信濃町しなのまちで同乗した、今一度ぜひ逢いたい、見たいと願っていた美しい令嬢が、中折れ帽や角帽やインバネスにほとんどしつけられるようになって
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
けれども忘れることのできないのは、四谷見付よつやみつけから信濃町しなのまちへ御所の裏門を通る道で訊問を受けたことであった。
篠笹の陰の顔 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
最近移ったばかりの信濃町しなのまちの雪枝のうちの少し手前で、タキシイを乗りて、白いレイスの衿飾えりかざりのある黒いサテンの洋服を着た葉子は、和装の時ほど顔も姿もえないので
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ハイ。学校を出ますと直ぐに信濃町しなのまちのK大の耳鼻科に入りましてズット今まで……」
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その客はおせんの馴染なじみで、四谷信濃町しなのまちに住んでゐる三十ぴょうりの國原くにはら次郎といふ者である。その晩は次郎ひとりであつたが、その友達の三上甚五郎みかみじんごろうといふのも時々に連れ立つて来るといふ。
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
信濃町しなのまちです。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
耳の下に小さい黒子ほくろのあることも、こみ合った電車の吊皮つりかわにすらりとのべたうでの白いことも、信濃町しなのまちから同じ学校の女学生とおりおり邂逅してはすっぱに会話を交じゆることも
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
信濃町しなのまちの停留場は、割合に乗る少女の少ないところで、かつて一度すばらしく美しい、華族の令嬢かと思われるような少女と膝を並べて牛込まで乗った記憶があるばかり、その後
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)