仮白こわいろ)” の例文
旧字:假白
食事が終って楽しげな雑談が始まる頃には、そろそろ主人の仮白こわいろなどが出る。芝居の方に関係し始めてから、それが一つの癖のように成っている。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
姉さんは壮健じょうぶそうに成ったばかりでなく、晴々とした眼付で玉木さん達の噂をした後に、めったに口にしたことのない仮白こわいろなぞをつかうほど機嫌が好かった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
芸人が高座でする毎時いつもきまりきった色話だとか、仮白こわいろだとかが、それほど彼の耳を慰めるでも無かった。彼は好きな巻煙草をふかしながら、後の方の隠れた場所に座蒲団ざぶとんを敷いて、独りで黙って坐った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)