主君との)” の例文
そこで主君とのへ言上して、お墨付きを頂戴し、遠くへ敵の遁がれぬうちにと、ほとんど取るものも取りあえず、急遽きゅうきょ旅へ出たのであった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
どのように間違うた尾鰭おひれが付いて、どのような片手落の御沙汰が大公儀から下ろうやら知れぬ。それが主君とのの御癇癖に触れる。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「それがしに、使いをお命じ下さるなれば、敵をも救け、味方の一兵をも損ぜず、平和に、高岡の一城を、主君とののお手に収めて参ります」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わが主君とのながら、男冥利みょうりにつきた源三郎! と思うと、嫉妬しっとにわれを忘れた門之丞、ガラリ障子を引きあけ
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「成る程のう。そこまでは気付かなんだ。……しかし主君とのはその辺に、お気が付かせられておりまするかのう」
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、すぐにベッタリと坐り、「まだ敵を討たぬ先に……主君とのへも親戚みよりにもこの身の起居……秘密にしてある現在において……恋する女に逢うなんど……不謹慎! ……織江、不謹慎!」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
龍造寺、大友の末路を学ぶとも、天下のせいを引受けて一戦してみようと仰せられる事は必定じゃ。大体、主君とのの御不満の底にはソレがわだかまっておるでのう。
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
主君との討たれて候うぞ! お供つかまつれ! 一人も生くるな!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
年寄の意見は斯う決まって主君とのへ言上することにした。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主君とのの内意をお伺いして」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)