同じ年の五月に、わたしがその年から数えて七年ほど前に書いた『三柏葉樹頭夜嵐みつかしわこずえのよあらし』という拙劣なる脚本が、偶然帝国劇場女優劇のかわりに演ぜられた。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)