はらはらしながら竹二郎が、ばちを合せて行くうちに、一調一高いっちょういっこう、又七の笛は彼の三味を仇敵かたきにしていることが解って来た。そして、満座の中で何度となく彼は糸を切らせられたのである。
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)