一寸見ちよつとみ)” の例文
一寸見ちよつとみは贅沢なやうだが、精々二十銭やそこいらの金で、若いをんなの前に男の虚栄心を満足さす事が出来るなら、こんなやすい贅沢はない筈だ。
「紅葉山人の絢爛さも、きイちやん、みイちやん的読者を欣ばせるまがひの鼈甲牡丹ぢやありませんかね。一寸見ちよつとみは、光沢つやがあつても、触つて見ると、牛の骨か何かだと云ふことが、直ぐ分りさうな。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
鸚鵡に仏蘭西語の巧い教師を雇ふといふと、一寸見ちよつとみは贅沢なやうだが、鸚鵡になまり喋舌しやべらしておいて、じつと辛抱してゐるよりか、どれ程節倹しまつにつくか知れたものではない。
一寸見ちよつとみには暖い四月の日光のなかでうつらうつらと居睡でもしてゐるらしいが、それはほんの表面うはつらのことで、花は今「つぼみ」から「満開」に移らうとして、その心持の上では
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)