一塊ひとかけ)” の例文
彼はそれに困って、浴室の隅にあるかけひの下にゆき、髪の元結もとゆいを解いて、一塊ひとかけの粘土を毛の根にこすり、久しぶりで、ざぶざぶと髪を洗いほぐした。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しんしんと草も木も眠っているこの真夜中に、ただ一人でも、師の房の念仏をどこかで魂に受けとっている者があるとすれば、一塊ひとかけの炭火ほどでも、師の心を温かにしはせまいか——と。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)