“やもり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
守宮65.2%
壁虎13.0%
家守8.7%
屋守7.2%
宮守5.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
遠くの街燈のほのかな光線が、守宮やもりのように二階の窓の雨戸にへばりついた黒い背広に黒いソフト帽の人物を、朦朧と映し出している。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
はじめて心付くと、厠の戸で冷く握って、今まで握緊にぎりしめていた、左のこぶしに、細い尻尾のひらひらと動くのは、一ぴき守宮やもりである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日本の守宮やもりと違つて人をむ恐れは無いが、飲料が好きなので飲みさした牛乳や珈琲カフエエを天井から落ちて来て吸ふ事が常にあるさうだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
拙者も至って孝心深く、かつ無類の大食なれば、可止法師に大いに同感を寄するが、それよりも感心なは居暁の博物ものしりで、壁虎やもりの眼がまたたかぬなど少々の例外あれど、今日の科学精覈せいかくなるを以てしても、一汎いっぱんに蛇の眼は瞬かず、蜥蜴群の眼が動くとは、動かし得ざる定論じゃ。
それは壁虎やもりであった。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
壁虎やもりがきちきち鳴く、気味の悪い夜鳥のき声、——夕食後私はヴェランダの欄干らんかんもたれた。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「あの人ったら、とても慌てて、……私達は、切符を買ってはいるところ、お姉さま達は出るところでしょう。あの人雨に濡れるのに、大急ぎで外へ飛び出して、石柱にぴったりと家守やもりのようにくっついて、あの自動車をいつまでも恨めしそうに見送っていたわ。それで、くさっちゃって、もう活動なんか見るのよそうというのよ。……美沢さん、やっぱりお姉さんが、随分好きだったのね。」大きな上眼で
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
薄ガラスの家守やもりの腹は
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
谷底の岩の上へ家守やもりのようにたたき潰された。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
これは後でわかつた事ですが、駒吉の熊五郎はねらひをつけた大家へ晝のうちまぎれ込み、得意の忍術で物の蔭や壁際に屋守やもりのやうにへばり附いて、夜更けを待つて仕事をするのでした。
窓の近くは窓にのぼり、欄間に手をかけて屋守やもりの這うかたちでした。
……町内随一の大分限ぶげんの身代が次第々々にぐらつきだし、今ではいたずらに大きなそこの土蔵の白壁の、煤け、汚れ、崩れ果てて、見るかげもなく鬼蔦おにづたの生い繁り、鼠ほどもある宮守やもりの絶え間なく這い廻っている……そうした何ともたとえようない寂しい儚ない浅ましい景色を、圓朝は目に描かないわけにはゆかなかった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)