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ただのゐん
それで
直ぐ
準備をして、
下男に
藥箱を
擔がせ、
多田院からの
迎への
者を
先きに
立てて、
玄竹はぶら/\と
北野から
能勢街道を
池田の
方へ
歩いた。
『えらい
權式ぢやなア。』と
思ひながら、
玄竹は
腰差しを
預けようとすると、
多田院から
來た
迎への
男が
手を
振つて、『よろしい/\。』と
言つた。
『
殿樣のお
氣に
召すやうな
話の
種は
尠うござりましてな。また
一つ
多田院參詣の
話でもいたしませうか。』