“さかぶと”の漢字の書き方と例文
語句割合
酒肥100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
酒肥さかぶとりした体格と言い、物々しくほこをひっさげた様子と言い、ひとかど手なみのすぐれたものと、思われでもしたのであろう。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「さあ何だらうて。小説といつたら僕は随分読むには読んだんだがね。」と酒肥さかぶとりにでつぷり肥つた紳士は、教授の掌面てのひらに載つた果物を見ながら言つた。「無論聖書ではあるまいし。」
酒肥さかぶとり、いとそりかへる
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
老人の顔が——血のけを失った、この酒肥さかぶとりの老人の顔が、その時ばかりは、平生とちがった、犯しがたいいかめしさに、かがやいているような気がしたからである。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ふとった、十六七の下衆女げすおんなが一人、これも酒肥さかぶとりにふとった、はげ頭の老人に、髪の毛をつかまれながら、怪しげな麻の単衣ひとえの、前もあらわに取り乱したまま、足をばたばた動かして、気違いのように
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)