歯痛しつう
M—市を通つてA—温泉へ着いたのは、もう夜であつた。 今年は殊に万遍なく暑さの続いた夏の半以上を東京で過した融は、愛子同伴で、次男の養子問題についての用件を帯び旁々三四日の予定で、山の空気を吸ひにS—湖畔の親類を訪ねた帰りを、彼は煤烟に悩ま …