湖畔手記こはんしゅき
たうとうこゝまで逃げて來たと云ふ譯だが——それは實際悲鳴を揚げながら——の氣持だつた。がさて、これから一體どうなるだらう、どうするつもりなんだらうと、旅館の二階の椅子から、陰欝な色の湖面を眺めやつて、毎日幾度となく自問自答の溜息をついた。海 …