温度おんど
音楽室の壁に額があった。中年の猫背の紳士が時雨に濡れて枯芝のなかを散歩してゐる——冷え冷えする絵だ。濡れ雑巾を持った儘、どうした訳か、彼女はたった一人で掃除当番をしてゐたのだが、ガラス窓の外にはやはり絵に似た時雨雲があった。 すると突然、先 …
作品に特徴的な語句
ほて あから