千匹猿の鍔せんびきざるのつば
大正十二年九月一日、高橋秀臣君は埼玉県下へ遊説に往っていたが、突如として起った大震災の騒ぎに、翌二日倉皇として神田錦町の自宅へ帰ったが、四辺は一面の焼野原。やっとのことで家族の行方を捜し当たが、家族は着のみ着のままで、家財道具などは何一つ持 …