立札たてふだ――近代伝説――――きんだいでんせつ――
揚子江の岸の、或る港町に、張という旧家がありました。この旧家に、朱文という男が仕えていました。 伝えるところに依りますと、或る年の初夏の頃、この張家の屋敷の一隅にある大きな楠をじっと眺めて、半日も佇んでいる、背の高い男がありました。それを、 …