お菜のない弁当おさいのないべんとう
誰でもその口実をはっきり知っていた。——それは五月十六日の朝からなのだ。その前の日は、犬養総理大臣が白昼公然と官邸で射殺された。でかでかと新聞に書かれたこの大事件によって、少しは景気の盛りかえす世の中が来るかも知れないと漠然と思い、そのこと …
作品に特徴的な語句
冷笑ひやか 予算つもり