食台ちゃぶだい)” の例文
物に感じやすい捨吉はこの婦人と田辺のお婆さんや姉さんとの女同志の峻烈きびしい関係を読むように成った。殊にそれを一緒に食台ちゃぶだいに就く時に読んだ。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お光はうなずいて、着物着更えに次の間へ入った。雇い婆は二階へ上るし、小僧は食台ちゃぶだいを持って洗槽元ながしもとへ洗い物に行くし、後には為さん一人残ったが、お光が帯を解く音がサヤサヤと襖越ふすまごしに聞える。
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
夕飯の時が来て細君も弘も円い大きな食台ちゃぶだいのまわりに一緒に成った。その時はもうお婆さんは他の話に移って、捨吉のしたことをとがめようとする様子はなかった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)