麩糊ふのり)” の例文
張つて麩糊ふのりを引いてゐるのは、文吾の單衣になる、繼ぎぎだらけの大和木綿であつた。初夏の空は淺緑に晴れて、山も里もキラ/\と輝き渡つてゐた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
幼心に訝りながら、お駒が麩糊ふのりを入れてゐた神饌桶を掃除して、洗米あらひよねを拵へ、鼠糞の溜つてゐた土器かはらけと三寳とを取り出し、總菜の餘りの枯魚ひもの一枚、それから父の飮み餘しの酒を瓶子に移し
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)