高麗橋こうらいばし)” の例文
天満橋てんまばしも、高麗橋こうらいばしも、思案橋しあんばしも、舟の着く所は、ことごとく、舟だった。船頭の叫びと、人々の周章あわてた声と、手足と、荷物と、怒りと、喧嘩けんかとで充満していた。
近藤勇と科学 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
高麗橋こうらいばし筋にある三菱みつびし系の某会社に勤めていた関係から、辰雄が蒔岡家へ養子に来た当座は、まだ独身で始終遊びに来、鶴子の妹達とも馴染なじんでいたものであったが、その後結婚し
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
途中たがいにもの言うにさえ、声の疲れた……激しい人の波を泳いで来た、殷賑いんしん心斎橋しんさいばし高麗橋こうらいばしと相並ぶ、天満の町筋をとおしてであるにもかかわらず、説き難き一種寂寞せきばくの感が身に迫った。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人々が起き出して、川の水で顔を洗う頃になると、八軒家、高麗橋こうらいばしから出た上り船が、そろそろ漕ぎ上って来た。その中に、士ばかりの一艘が、杯をやり取りしていた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
場所 高麗橋こうらいばし三越八階ホール
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)