駢立へんりつ)” の例文
北アルプスは概して起伏に富み、それがまた小刻みに刻まれて、大小の峰頭は乱杭の如くまたは鋸歯の如く駢立へんりつし、鋭く天を刺している。
南北アルプス通説 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
乗鞍岳の後には、三峰駢立へんりつして、あたかも穂先が三つに分れた槍のように、鋭く天を刺している山がある。山骨稜々たる岩山であることは、遠目にも判然と認められた。
北岳と朝日岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
山を神と崇めた例は殆ど枚挙するにいとまがない。大和・越中其他に在る二上山は即ち二神山で、二峰駢立へんりつした一方を男神とし、他方は女神と崇めた為に生じた名である。
山の今昔 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
この牙のように駢立へんりつして鋭く突立った両側の岩壁を見上げると、何かしらん地質時代の或る巨大なる動物が、胴体を地下に埋没された苦し紛れに大きな口をカッと開いて
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
この駢立へんりつした三峰が早くから地図の上で其名を知られていた所謂赤兀白兀である。白兀の右には二千六百米に近いと想われる大窓のずこが、朱泥をなすり付けたような凄い顔をして此方を向いて居る。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)