餡子あんこ)” の例文
すべての女は、どんな真理をでも餡子あんこや小説の文句やでまぶして置かなければ滅多に口にしないものだといふ事を有島氏はよく知つてゐた。
餡子あんこではあんまりだ、黄色い白粉おしろいでもつけましょう、牡丹亭きな子です。お一ついかが……そういってどうかすると、お客にお酌をした事もあるんです。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はいはい、この団子でござりますか。これは貴方あなた、田舎出来で、沢山たんと甘くはござりませぬが、そのかわり、皮も餡子あんこも、小米と小豆の一本でござります。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの粟餅あわもちのふかしたてだの、白玉焼の餡子あんこのはみ出した処なんざ、今思出しても、つばが垂れる。小僧、立つな立つな見ていて腹はくちくならない、と言われた事さえあるんだから。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)