ふりかえ)” の例文
しりえふりかえりて見れば、真白なる猟犬かりいぬの、われを噛まんと身構みがまえたるに、黄金丸も少し焦燥いらつて
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
疑いつつふりかえりゆくと、ふとこの辺の様子を横浜の景色らしく思いまぎらさしめる魔力をその塔の影は持っていた。少年がよく話の中に出して来る清魂丹の大時計というのはこれなのか。
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ともづなを解きかけていた眠元朗みんげんろうは、渚にいる娘の方をふりかえった。
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
母は眼は少し窪んでいましたが瓜実顔うりざねがおに肉附きのよい美人で、その当時はやりの花月巻というのを結って黒襟の小紋縮緬ちりめんあわせでも着たら品もあり仇っぽくもあり、誰でもみなふりかえりました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
わたくしはふりかえるのを何度、我慢したか知れません。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)