雑人ざふにん)” の例文
旧字:雜人
高麗橋、平野橋、淡路町の三度の衝突で、大塩方の死者は士分一人、雑人ざふにん二人に過ぎない。堀、跡部の両奉行の手には一人の死傷もない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
おこたり無く偵察ていさつしてゐると、丁度将門の雑人ざふにん支部はせつかべ子春丸といふものがあつて、常陸の石田の民家に恋中こひなかの女をもつて居るので、時〻其許へ通ふことを聞出した。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
烟が散つてから見れば、もう敵は退いて、道が橋向はしむかうまで開いてゐる。橋詰はしづめ近く進んで見ると、雑人ざふにんが一人打たれて死んでゐた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
玉にあたつて死んだものは、黒羽織くろばおりの大筒方の外には、淡路町の北側に雑人ざふにんが一人倒れてゐるだけである。大筒方は大筒の側に仰向あふむけに倒れてゐた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)