阿母おっかあ)” の例文
「おお、お亀さんか。久しく見えなかったね。お蝶坊も好い新造しんぞになったろう。あの子もおとなしく稼ぐようだから阿母おっかあもまあ、安心だ」
半七捕物帳:07 奥女中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この少年は前に述べたとおりまったく放棄されていたけれど、時とすると三カ月に一度くらいは、「どれどれひとつ阿母おっかあにでも会ってこよう!」
「おい、阿母おっかあ。いつまでそんな廻りくどいことを言ってるんだ、聞いてても小憤こじれってえ。」と傍から一人がひき取って
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
阿母おっかあさんが、まアたくさん下すった。お国の梅はどこかちがうんですかね。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ええ阿母おっかあでございますか、ええ、ぴんぴんいたしております。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
阿母おっかあと仲好くして——といういじらしい訴えなのである。
まんざらの野暮でもない林之助は阿母おっかあに好きなものでも買ってやれといって、いくらかの金を渡して別れた。お里は貰った金を帯に挟んで、幾たびか見かえりながら月の下をたどって行った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
阿母おっかあ、俺の着て寝る布団がねえぜ。」と上り口から呶鳴った。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
「お前阿母おっかあから口止されてることがあるだろうが」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)