三の散佚さんいつはあろうが、言うまでもなく、堂の内壁ないへきにめぐらしたやつの棚に満ちて、二代基衡もとひらのこの一切経いっさいきょう、一代清衡きよひら金銀泥一行きんぎんでいいちぎょうまぜがきの一切経、ならび判官贔屓ほうがんびいきの第一人者、三代秀衡ひでひら老雄の奉納した
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)