酔漢すいかん)” の例文
コートのえりを立て、巻煙草を口にくわえた酔漢すいかんが二人、腕を組みあって、ノッシ、ノッシと、袋小路にまぎれこんだ——勿論、帆村と私とだった。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その様子が、病人や酔漢すいかんではなくて、どうやら死人ではないかと思われた。
それもあかつきの南京路の光景から、あけをうけた繁華はんかな時間の光景から、やがて陽は西にかたむき夜のとばりが降りて、いよいよ夜の全世界とした光景、さては夜もけて酔漢すいかん
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
道頓堀に真黒なへそができた。その臍は、すこしずつジリジリと右へ動き、左へ動きしている。それは場所ちがいの酔漢すいかん帆村荘六をもの珍らしそうに取巻く道ブラ・マンの群衆だった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
本願寺裏の掘割ぞいの鋪道の方へ、ふらふらと千鳥足の酔漢すいかんがとびこんで来た。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と叫ぶと、酔漢すいかん舗道ほどうの上に、長くのめった。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)