逐返おいかえ)” の例文
酒屋の御用を逐返おいかえしてから、おお、斯うしてもいられん、と独言ひとりごとを言って、机を持出して、生計くらしの足しの安翻訳を始める。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
根津の店が失敗したおりに逐返おいかえしたきりになっている、父親をよろこばせに行った頃には、彼が留守になっても差閊さしつかえぬだけの、たちの上手な若い男などが来ていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
唯むだなばかりじゃなかった、親無し子で乞食になる処を拾ってやったとか、生きているあいだは稼いで貢げとか、悪態のありったけを浴びせられ、塩をかれない許りに逐返おいかえされた。
金五十両 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)