逐出おひだ)” の例文
『そりやあ寺の方が静は静だ。』と銀之助は一向頓着なく、『何ださうだねえ、先の下宿では穢多が逐出おひだされたさうだねえ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
が、彼の苛立いらだたしさは彼にエホバの「殿みやに入りてその中にをる売買うりかひする者を殿みやより逐出おひだし、兌銀者りやうがへするものだい鴿はと売者うるもの椅子こしかけ
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いきをばこの體内みうちから逐出おひだしてくれるどくしい。
しかし君の様子を見るのに、何処か身体の具合でも悪いやうだ。まあ、君は左様さうは思はないかね。だから穢多の逐出おひだされた話を聞くと、直に僕はの猫のことを思出したのさ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
妄想まうさう、妄想——今の患者の眼に映つた猫も、君の眼に映つた新平民も、みんな衰弱した神経の見せる幻像まぼろしさ。猫が捨てられたつて何だ——下らない。穢多が逐出おひだされたつて何だ——当然あたりまへぢや無いか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)