小屋には寝具、燃料、食糧等備っているので、ここを根拠地として立山へ登ったり、附近の高原をスキーで逍い歩くのは実に楽しくよいところである。
ときおりその一家の人達がその庭園の中に逍ったり、その花の世話をしたりしているのを見かけると、私の胸には何とも云いようのない寂しい気もちと
痩せ衰へた皮と骨とのからだをささへて、依然、古い家のまはりをうろついてゐた、それは死を賭してもなほ猫は猫の性格と伝説のなかを逍はねばならないものを持つてゐるらしかつた。
読書と冥想のひまにはわが穴を嗅ぎまわる獣のように島のうちを逍いあるく。その芙蓉の花の花びらに虻のとまったほどのこの島にも雨につけ風につけなにかの新しいことがないでもない。
個人銘々の意識があてどもなく逍い歩くということも、又は行きづまって動けなくなったということも、もう動かないことに決めて了ったということも、どれも不安にぞくするものではあろう。