ゐざり)” の例文
もう訊くことはないのか、——何? ゐざりの乞食が五年前深川へ來たのを、土地の人が十年も前から居るやうに思つてゐるわけか、——何んでもない事さ。
神様といふのは、ある鉱山師の女房で、その女は何処かで掘出して来たらしい大黒さんを座敷にまつり、そこに引籠つて、ゐざりを立たせたり、一寸した頭痛持をなほしたりしてゐる。
八幡樣裏の小屋にゐざりはまだ歸らず、四方あたりに人影もないのを見定めると、平次はいきなり小屋の後ろに廻つて、念入りに掛けた風除けのむしろを捲くり上げました。
五年越しゐざりの乞食になりすまして、よそながらお前の姿を見張つて居たのだ。な、お筆、お前のかんざしと巾着を身に着けて、時節の來るのを待つて居たんだ。——