蹶然けつぜん)” の例文
黙礼するやいなや文三が蹶然けつぜん起上たちあがッて坐舗を出て二三歩すると、うしろの方でドッと口をそろえて高笑いをする声がした。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
蹶然けつぜんとして臥床ふしどより起ち、人の我側に在らざるに乘じて、壁に懸けたる外套を纏ひ、岸邊なる小舟を招きて、「デイ、フラアリイ」の寺に往かんことを命じつ。
蹶然けつぜんたもとを振つてわれは室内に帰りぬ。
従軍紀事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)