角間かくま)” の例文
関東・東北に多い角間かくままたは鹿熊など書く地名も、これと同事由かも知れぬ。川の隈だからとは説明しにくいカクマもずいぶんある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
やがて一同暇乞ひして、斯の父の永眠の地に別離わかれを告げて出掛けた。烏帽子、角間かくま四阿あづまや、白根の山々も、今は後に隠れる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
琵琶池のあたりはや広いが起伏があり過ぎる。角間かくま川に沿うた熊の湯の上下には、多少の平地や緩斜地も見られるが、私には如何しても高原の感じが起らない。
ぜひなくまずい小説を書いて口をのりする心をきめ、冬から翌年まで、信州の山奥へこもっていたが、その折世話になった角間かくま温泉越後屋の主人山本氏からの便りなど
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
志賀高原・熊の湯の角間かくま川で、釣ったイワナの腹を開いてみると、トカゲのとろけたのが出てきたのには驚いた。もっとも、川魚ではこのイワナが一番の悪食あくじき魚とされている。
江戸前の釣り (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
「もしもし……それへおいであるのは、角間かくま蔵人殿くろうどどのではおざらぬか」碓氷うすい川のほとりで、こう声をかけた一群ひとむれの旅人があった。三頭の荷駄をかせて、四、五人の男を連れた郷士ふうの男だった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
角間かくまの?」と、親鸞に付き添うている人々は一様につぶやいて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)