血統すじ)” の例文
如何にも貴様の云う通り人間は老少不定ふじょう。いつ死ぬるかわからん。俺の親父おやじも中気で死んどるけに血統すじを引いた俺も中気でポックリ死なんとは限らん。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まともにみつめられるとチリ毛だつような気がすることがある。……階下したの年寄夫婦の話だと、よくひきつけて大騒ぎをさせるといっていたっけが、気狂いの血統すじなのかも知れないね。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
『母の血統すじだ。どうか、あの情熱が、よい方へ、燃えてくれればよいが』
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十七ばかりになる娘との親子三人ぐらしであった、ところがこのうちというのは、世にも哀れむべき、癩病らいびょう血統すじなので、娘は既に年頃になっても、何処どこからも貰手もらいてがない、娘もそれをさとったが、偶然ふと
千ヶ寺詣 (新字新仮名) / 北村四海(著)