蓮田はすだ)” の例文
三人は、雑鬧ざっとうの浪を横に抜けて、嵐粂吉あらしくめきちの小屋やのぼりを横に見ながら、じめじめした蓮田はすだのへりを悠々とならんで歩み出しました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と思うのに——雲はなくて、蓮田はすだ水田みずた、畠を掛けて、むくむくと列を造る、あの雲の峰は、海からいて地平線上を押廻す。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鯉淵要人こいぶちかなめ、岡部三十郎、斎藤監物けんもつ、佐野竹之助、蓮田はすだ市五郎、稲田重蔵、増子金八、大関和七郎、広岡子之次郎ねのじろう、遊佐銀二郎、山口辰之介たつのすけ
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼方此方かなたこなたに浮んだ蓮田はすだの蓮の花は青田の天鵞絨ビロウドに紅白の刺繍ぬいとりをなし打戦うちそよぐ稲葉の風につれてもいわれぬ香気を送って来る。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
長は近道をするために、蓮田はすだの中の細い畦道あぜみちへはいっていった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
へい、旦那もたしか——そのころはまだお若かったが、蓮田はすだ様や関様などと、四、五度もおいで下すったはずでございます。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間四里、聞えた加賀の松並木の、西東あっちこち、津幡まではほとんど家続きで、蓮根れんこんが名産の、蓮田はすだが稲田より風薫る。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長は近道をするために、蓮田はすだの中の細い畦道あぜみちへはいっていった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)