落魄流寓らくはくりゅうぐう時代のひがみもある。信長に庇護ひごされて二条に立ったという、日ごろの気がねも勃然ぼつぜんと反撥する。——怯者きょうしゃの怒りは、時によると、盲目的に、すて鉢をあらわすものである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)