荒屋敷あれやしき)” の例文
荒屋敷あれやしきになっているところへ、のそのそと来かかった山男が、光るから手に取上げていだりめたりしていたとしたら、彼らの排外的なる社会にまでも
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
菊池半助きくちはんすけを肩にかけて、まっ暗な人無村ひとなしむらをかけていった蛾次郎がじろうは、やがて、おおきな荒屋敷あれやしきの門へはいった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで様子をうかがえば、お綱はたしかにこの荒屋敷あれやしきの中にいる。さっき、チラと洩れてきた爪弾つまびきでも知れる。だが、旅川周馬とかいう奴、一体留守なのか、いるのだろうか。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところがこの通りな荒屋敷あれやしき、いつ来てみても釘付けなので、業腹ごうはらだから今日は向うをコジ開けて、この部屋へ上がり込んで周馬の戻りを待っていたところが、たいそう草双紙くさぞうしが積んであるから
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)