苫舟とま)” の例文
わが家の苫舟とまを見ると、彼は岸の上から、もう妻の名をよんでいた。——その声には、一刻離れても、お互いに、待ちつ待たれつの、常日頃の夫婦仲が、ことばのほかに溢れていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)