“苫屋根”の読み方と例文
読み方割合
とまやね100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
シナ人の乞食こじきが小船でやって来て長い竿さおの先に網を付けたのを甲板へさし出す。小船の苫屋根とまやねは竹で編んだ円頂で黒くすすけている。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
泊っている荷舟にぶね苫屋根とまやねが往来よりも高く持上って、物を煮る青い煙が風のない空中へと真直まっすぐに立昇っている。鯉口半纏こいぐちばんてん向鉢巻むこうはちまきの女房がふなばたから子供のおかわを洗っている。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
はかり知られざるなにかの理由で船を見すてなければならなかったとしても、では、どんな方法で船を去って行ったのか。備えつけの二艘の艀舟はしけ苫屋根とまやねの両がわに縛りつけられたままになっている。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)