花咲爺はなさかじじい)” の例文
祖母の語る話も桃太郎や花咲爺はなさかじじいと同じように物語の中の人物のように感じていた八重は、「ほんまのことじゃ、あれはほんまのことじゃ」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
それをうらやむ兄が借りてきて利用しようとするが、ことごとく失敗に終るという結末は花咲爺はなさかじじいなどと共通であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
母親と乳母うばとが話す桃太郎や花咲爺はなさかじじいの物語の外に、最初のロマンチズムを伝えてくれたものは、この大黒様の縁日えんにちに欠かさず出て来たカラクリの見世物みせもの辻講釈つじこうしゃくの爺さんとであった。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「とんだ花咲爺はなさかじじいさ、ここ掘れワンワンと来やがったろう、へッへッへッ」
昔話には舌切雀したきりすずめのおもい葛籠つづらばばのように、または花咲爺はなさかじじいのとなりの慾深爺よくふかじじいのように、善人がしあわせをしたという話には、かならず悪い人が悪い報いを受けたということがついている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)