膠着にかわづ)” の例文
「は。……あれにおりまする一ト組、またこちらで、膠着にかわづけをしている者、そしてむこうの隅で錣縫しころぬいをしているのもきのうから参った者で」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雨戸の隙間からの、この世のものとも見えぬ、恐ろしい覗機関のぞきからくりが、彼の目を膠着にかわづけにして離さなかったのだ。彼は殆ど夢と現実との見境がつかなくなってしまっていたのだ。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)