“能面”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
のうめん71.4%
おもて28.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
久保氏の手がけた伊賀の上島家文書中の能面のうめん覚エやら観世系図によると、観世流の始祖、観世清次きよつぐの母は、楠木正成のごく近親な者で
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やはりその一瞬間、能面のうめんに近い女の顔に争われぬ母を見たからである。もう前に立っているのは物堅ものがたい武家の女房ではない。いや日本人の女でもない。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
岩窟の壁へ懸けられた、非情の能面おもてさえ耳を澄まし、聴き入るような声であった。寂しい絶望した声であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
えぐられたように痩せ落ちた顳顬こめかみや頬、そういう輪廓を、黒い焔のような乱髪で縁取ふちどり、さながら、般若はんにゃ能面おもてを、黒ビロードで額縁したような顔を、ヒタと左門へ差し向けたが
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)