聞糺ききただ)” の例文
彼女は泣きながら父のへやに訴えに行った。父は面倒だと思ったのだろう、あによめには一言いちごん聞糺ききたださずに、翌日お重を連れて三越へ出かけた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
時雄は一刻も早くその恋人のことを聞糺ききただしたかった。今、その男は何処どこにいる? 何時いつ京都に帰るか? これは時雄に取っては実に重大な問題であった。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
スルト一行中のる役人が三井の手代を横浜の旅宿に呼出よびだし、色々ドルの相場を聞糺ききただしてさてうよう
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
浅田は益々怪しく思って、豊陽館へ入って中西という人物に就いて聞糺ききただして見た。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「みなさんに一度揃つて来ていただくといいけどねえ。」お糸さんはかう云つて、一さかりのあつた私達の連中を、一一云ひ出しては、「どうしていらつしやるの、」と聞糺ききただして居たが
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
以前ヨリイヨイヨ悪イコトヲシタコトヲ残ラズ書取ッテ、只今ハ改心シタカラ見出シテクレロト云ッタラ、取扱ガ来テ、御支配ヨリオンミツヲ以テ、世間ヲ聞糺ききただスカラ、ソノ心得ニテ居ロトイウカラ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
スルト接待員はいさい承知して、ず人数を聞糺ききただし、惣勢そうぜい三十何人とわかっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「まあどうなりますか。親達の考もございましょうし。当人達とうにんたちの存じ寄りもしかと聞糺ききただして見ないと分りませんし。私ばかりでこうもしたい、ああもしたいといくら熱急やきもき思ってもこればかりは致し方がございません」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)